大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和46年(あ)2352号 判決 1973年3月22日

主文

原判決および第一審判決を破棄する。

被告人は無罪。

理由

弁護人加藤保三の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、所論引用の各判例は、いずれも事案を異にし本件に適切でなく、その余は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。

しかし、所論にかんがみ、職権をもつて調査すると、原判決および第一審判決は、後記のように刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免かれないものと認められる。

本件公訴事実について、第一審判決およびこれを維持した原判決が認定した事実関係およびこれに対する法律判断は、おおむね次のとおりである。

すなわち、被告人は自動車運転の業務に従事している者であるが、昭和四四年九月二九日午後三時三〇分ごろ、土砂を積載した大型貨物自動車を運転して名濃バイパス方面(東方)から江南市前野方面へ向け時速約五〇キロメートルで進行し、愛知県丹羽郡大口町大字小口字野田野山八番八番地先の交通整理の行なわれていない右方(北方)道路への見とおしのきかない交差点の手前にさしかかり直進しようとしたが、徐行および右側道路に対する安全確認の各義務を怠り同一速度で同交差点に進入しようとした過失により、同交差点の手前約4.7メートルの地点において、おりから右側道路の北方にある銭高組作業現場から、土砂を積載するため同交差点左方(南方)道路方面へ向け、銭高組作業員平林すえをの赤旗による停止の合図を無視して時速約二五キロメートルで同交差点に進入してきた宮島進(当時五五才)の運転する大型貨物自動車を右前方約19.3メートルの距離に発見し、急停車の措置をとるとともにハンドルを左に切つたが間に合わず、同車の前部に自車の右前部を衝突させ、右宮島進を路上に転落させ、よつて同人に全治八ケ月一八日間の頭蓋骨々折、頭蓋内出血の各傷害を負わせた。本件交差点は、南北道路がやや東方に斜行し、同交差点の南側部分が扇状をなしている変形交差点であり、東西道路は県道であつてアスファルト舗装されており、れその幅員は、東方道路の車道部分は8.3メートルで右側に幅0.75メートルの歩道部分があり、西方道路は7.6メートルであり、これと交差する南北道路中北方道路は砂利敷でその幅員は7.5メートルであるが、その西側部に幅約九〇センチメートル高さ一〇ないし一五センチメートルの砂利が同交差点入口附近から北へ約17.1メートルの距離の間、帯状に堆積されていたためその有効幅員は約6.6メートルであり、南方道路は舗装されていてその幅員は6.65メートルであり、東方道路と西方道路、東方道路と南方道路とは見とおしは良好であるが、東方道路から見て北方道路、西方道路から見て南方道路および北方道路から見て東方道路は、いずれも家屋およびその周囲の樹木等のため、また北方道路から見て西方道路は、三角形の墓地に密生している樹木等のため、見とおしがきかないものである。本件事故当日、銭高組作業現場責任者から依頼を受けた同現場作業員平林すえをが、本件交差点の北西角において、北方道路の北の方角にあたる右作業現場へ土砂を運搬しその帰途同交差点の東方または南方道路に向かつて交差点に進入する大型貨物自動車に対し、交通の安全を確保するため、白旗と赤旗によりその進行を規制しており、本件事故の際も、右宮島の運転する車両が同交差点北側入口から北方約一七メートル位の距離に進行してきた際、赤旗により停止の合図をしたが、右宮島はこれを無視して時速約二五キロメートルで同交差点に進入したものである。そして、原判決は、以上のような事実を前提として、「右平林すえをの交通規制は、単に前記作業現場(北方)から本件交差点に進入する同作業所関連の大型自動車に対し注意を喚起するためのものであつて、道路交通法四二条にいう交通整理にあたらないから、本件交差点は交通整理の行なわれていない交差点で被告人の進路から見て右側の見とおしのきかないものであり、被告人の進路である東西道路が昭和四六年法律第九八号による改正前の道路交通法三六条一項にいう優先道路の指定を受けているものではなく、またその幅員が南北道路に比し明らかに広いともいえないから、同交差点に進入する被告人の車両には道路交通法四二条の徐行義務がある。一般的にみて、道路交通法所定の義務と業務上過失致死傷罪における業務上の注意義務とは、一応別個に考えなければならないが、道路交通法四二条の徐行義務の懈怠は、交差点における出合頭の衝突事故を誘発する蓋然性が極めて高いものであるから、同条に該当する交差点に進入する自動車運転者にとつて、右徐行義務は業務上の注意義務に当然含まれる。さらに、本件のように、交通整理の行なわれていない右方道路に対する見とおしのきかない交差点に進入する際には、前記のように平林すえをが赤旗で北方から進入する車両に対し停止の合図をしていた事実があつても、交通整理の専門家でない私人の自主規制には時として過誤を生じ易く、これを過信することはすこぶる危険であるから、なお右方道路に対する交通の安全を確認すべき業務上の注意義務があると解すべきである。したがつて前記平林の交通規制があつた事実をもつて、信頼の原則により前記徐行義務、右方確認義務が免除されるものではない。」としているのである。

しかしながら、右平林すえをによる交通規制が、道路交通法四二条にいう交通整理にあたらないことは、原判決の判示するとおりであるが、右平林林すえをが北方から本件交差点に進入する車両に対し赤旗により停止の合図をしていたものである以上、東方から同交差点に進入する車両の運転者としては、北方から進行してくる車両の運転者が右平林の停止の合図に従うことを信頼してよいのであつて、北方から進行してくる車両の運転者が右平林の停止の合図を無視し同交差点に進入してくることまでを予想して徐行しなければならない業務上の注意義務はないものと解するのが相当である。

本件記録によると、被告人は本件事故当日大型貨物自動車を運転してたびたび東西道路を往復し、本件交差点の西北角で右平林すえをらが北方から同交差点に進入してくる車両に対し赤旗と白旗で交通規制をしているのを知つていたものであるが、本件事故の際、被告人は東西道路の東方から前記自動車を運転して時速約五〇キロメートルで進行し、同交差点の約一五メートル手前の地点(南方道路の入口を規準とする。宮島進の進行してきた北方道路の入口からは二〇メートル以上手前であると認められる。)において、同交差点の西北角で平林すえをが赤旗を上げ北方からの車両を停止させようとしているのを認め、北方からの車両は右平林の停止の合図に従つて同交差点の手前で停止するものと考え、アクセルペダルから足を離しただけでそのまま進行したところ、同交差点の手前約4.7メートルの地点において、北方道路から宮島進の運転する大型貨物自動車が、右平林の停止の合図を無視し時速約二五キロメートルで同交差点に進入してくるのを約19.3メートルの距離に発見し、急停車の措置をとるともにハンドルを左に切つたが間に合わず、同車の前部に自車の右前部を衝突させたものであることが認められる。

そうすると、被告人が、北方から進行してくる車両の運転者が右平林すえをの停止の合図に従い本件交差点の手前で停止するであろうと信頼したことは相当であつて、同交差点で徐行しなかつたことを被告人の過失とすることはできないものというべきである。

なお、原判決および第一審判決は、被告人が本件交差点で徐行しなかつたことのほか、右方(北方)道路に対する安全確認義務の懈怠をも被告人の過失として掲げているが、第一審判決および原判決の挙示する証拠によつては、被告人が右方道路の安全確認義務を怠つたため宮島進の運転する大型貨物自動車の発見が遅れたものとは認められず、その他記録に徴するもこれを認めることができないから、原判決および第一審判決には、右の点において事実誤認がある。

そうすると、本件について、被告人に過失責任を認めた原判決および第一審判決は、法令の解釈適用を誤りかつ事実を誤認した結果、被告事件が罪とならないのにこれを有罪としたものというのほかなく、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであつて、刑訴法四一一条一号、三号により破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。

よつて、同法四一三条但書により直ちに判決することとし、同法四一四条、四〇四条、三三六条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(下田武三 大隅健一郎 藤林益三 岸盛一 岸上康夫)

弁護人加藤保三の上告趣意

控訴審判決が維持した一審判決は、交通整理員平林すえをの信号を信頼し、これに従つた被告人に、業務上徐行し安全確認義務があるとして、罰金二万円の有罪判決を言渡したものであるが、右は、重大な事実の誤認をし、ひいては法令の解釈適用に誤りがあつて、これを破棄しなければ著るしく正義に反し、又最高裁の判例と相反する判断をしたもので破棄さるべきである。

一、本件事故現場の状況について

本件事故現場は愛知県丹羽郡大口町大字小口字野田野山八番地先にある東西に通ずる幅員8.4米(更にその左右両側には歩道がある)の県道(舗装道路)と有効幅員5.5米(道路幅員7.5米)の南北に通ずる道路(但し、南北道路は交差点から南行は幅員6.5米で舗装され、やや東方に斜行しており北方道路は砂利敷未舗装)とが交差する変型十字路を形成している地点である。

そして本件事故当時は土建業者銭高組からダンプカーを使つて寮より交差点を経由し、約五〇〇米離れた山崎鉄工所工場へ土砂運搬の作業をしており、南北道路に付北方からダンプカーが本件十字路に進入する車両について右銭高組に雇われた平林すえをが赤白の旗を持つて、交通頻繁な県道上の交通を妨げないようその安全を保ちかつその安全を確認した上で北方道路から交差点に進入させるべく北方からの進入車両に対し交通整理を行つていたものである。なお交差点から北方道路に約三〇米入つたところに北方より交差点に進入する車両に対しこの先十字路がある旨の交通標識を設けており北東角には人家とその庭があつて草木が繁茂し北方道路より東方道路への見通しは極めて不良である。

二、本件事故の状況について

被告人は本件事故当日、午後三時三〇分頃本件県道を左端を東方から西方へ時速約五〇粁にて貨物自動車を運転進行し、本件交差点にさしかかつたものであるが、他方宮島進も大型貨物自動車を運転し、北方より県道を横切り南方へ行くべく交差点に進入してきた。

ところで右宮島は本件当日午前一一時頃から事故発生時まで前記銭高組の土砂運搬を行つて来、約三〇回程度本件交差点を往復していたものであり、又右銭高組の土砂運搬ダンプカーが北方より県道を横断する車両に対し、平林すえをは当日も朝から交通整理をしておりその証言によれば当日午後からは、北方より県道上に進入する進行車両に対し、赤旗により停止の合図をし、県道上の車両に通過せしめ、その安全を確認したうえ、進入させていたものである。

また右宮島は当日新規に運搬業務についたものであることから、右銭高組の上司から宮島は、本件交差点に進入するについては十分に安全を確認してからこれをすべきことを注意されていたものである。そして右宮島は本件事故当時かなりの高速度で北方より本件交差点に進入して来、右平林すえをが東方より被告人の車車両が進行してくるのを認めたので、予め北方より進入してきた右宮島の車両に対し、赤旗により停止の合図をしていたのである。ところが右宮島は県道上の進行車両の確認をせず右交通整理員の停止信号を無視し徐行・一時停止その他安全の措置を講ずることなく県道上に進入し、県道・左端を西進していた被告人の運転する自動車の右側先端より1.5米位後方の部分、すなわち運転者席の右側面に自車前部を衝突させたものである(なお宮島の車両につきスリップ痕が認められるがこれは宮島の車両が被告人の車両に衝突して西方へ引きづられた時のものであることは右痕跡の長さ及びスリップ痕の型状、警察官の証言等からも明白であつて制動をかけたものではない。

三、被告人に優先権があることについて

道路法三六条二・三項にいう道路幅員の広狭は、いうまでもなく交差する両道路の幅員を数字の上で単純に比較して決定さるべきではなく当該交差を二道路の具体的な状況即ちいづれが幹線道路となつているのか、舗装道路か否か、交通量の多寡等一切の具体的事情を綜合して、通常人が明らかに広いものであると判断するか否かにそのメルクマールがあるといわねばならない。

これを本件道路についてみるに、宮島が進行した北方道路は未舗装にしてしかもその西側には幅員約九〇糎高さ一〇〜一五糎の砂利山が交差点北側入口から北方へ約一七米の距離に至るまで帯状に堆積されており、従つて有効幅員は道路幅員より更に狭くその交通量も極めて少なく、その北方道路の周囲は西側及墓地の樹木に囲まれ又東側も人家の密生樹木におおわれており外形からみても所謂横道と考えられる道路であり、他方被告人が進行した東西道路は完ぺきに舗装された県道にして幹線道路を形成しており交通量も頻繁で車道部分8.3米の西側には更に歩道部分約二米もあつてこれを加えると道路幅員は、一〇米以上になり、通常人が両道路を一見しても明らかに被告人進行の東西道路が広いと判断する状況ないし事情が存するのである。さればこそ交通整理員が北方より交差点に進行する車両に対し、右幹線道路の交通を妨害しないよう規制をしていたのである。

この点について一審判決は道路の広狭判断に関して右具体的事情を捨象し、単に両道路の幅員を数字上比較したのみで、被告人が進行した道路が明らかに広いものはいえないとしたのは事実誤認であり、右法条の適用について誤りがある。

従つて被告人は道路道路交通法三六条二・三項により本件交差点を進行するにつき優先権があるといわねばならない。

四、仮に被告人において道交法上の優先権がないとしても、道交法上の注意義務と刑法に規定する業務上過失致傷罪の構成要件としての注意義務は本質的に異なり、本件の如き交通整理員の規制に従つた被告人には一審判決が言う注意義務を課することはできない。といわねばならない。

(一) 道交法のような取締規則は基本構造において一定種類の行為を行う場合に遵守すべき規範を定め一定の作為、不作為を命じ域は禁止するものであるが刑法上の過失は元来取締規則とは無関係に存在し、その注意義務は具体的に個別化され、当該事故の発生した具体的個別的な事情のもとに注意義務を課することができるか否かに係つているのである(道交法違反がないのに過失の認められる場合があり、逆に道交法違反があるのに過失の認められない場合が存在し道交法上と刑法上のそれぞれの注意義務は本質を異にしており、さればこそ、最高二小判昭和四二・一・一三も道交法違反を構成しても刑法上の注意義務の存否とは無関係であるとする)。

そして一審判決は本来が業務上過失致傷の事件であるのに、道交法上の注意義務と混合を来たし、厳密に刑法上の過失を論じていない「きらい」がある。

(二) 右に述べたように刑法上被告人に注意義務があるや否やは当該事件の発生した具体的事情のもとにおいて個別的に考察しなければならない。

これを本件についてみると、

一審判決もこの点について正しく認定している通り交通整理員平林すえをは本件交差点北西角において白旗及び赤旗により交通規制をしており、本件事故の際も右宮島の運転車両が交差点北側入口から北方約一七米位に進行してきたおりから赤旗により停止信号をし、これを規制したのである。右宮島はこれを無視し、一旦停止或は徐行することなく幹線道路を横断すべくその儘の速度で交差点に突込んで来たのである。

他方被告人は、交差点にさしかかる前に交通整理員が北方より進入する車両を停止し、赤旗をもつて規制していたので被告人としては北方より進入する車両が交差点手前で一旦停車するものと信頼して、本件交差点に進入したものであるところで、最高裁昭和四一・一二・二〇判決以後判例上及び学説上所謂「信頼の原則」なるものが確立されていることは周知の通りであり「車両運転者は他の交通関与者の交通秩序の交通秩序の遵守を期待して行動してよく、他の交通関与者が交通法規違反又は、交通上適切なる態度をとること迄考慮して行動する必要はなく、これに注意義務ないし刑事責任を課することは出さない」とされるのである。そして他の交通関与者が交通法規違反の行為又は交通上不適切な行為に出来ないことを信頼したことが社会的に相当であるならば、これに注意義務を課することは出来ないのである。

一般国民は、交通整理員ないし指導員など名称はともあれ、交通整理を担当する者の指示によりこれに従つて交通秩序が維持されていることは自明の理であつてこの指示に基づいて行動することが社会通念上交通事故の発生を未然に防止することになり交通秩序に役立つているものである。

右の観点からみれば、被告人が交通整理員の指示により北方よりの進入車両が交差点において一時停止をすると信頼したことは尤もなことであり、通常の合理的な運転者においても右の様な同じ状況のもとにおいては同様な信頼をもつものということが出来るといいうる。

従つて被告人が右信頼に基づいて宮島が交通整理員の指示に適切な行動即ち赤旗による一時停止を期待し、これを信頼して進行しているのであるから、本件事故の原因が被告人の徐行義務違反にあるのでなく宮島が交通整理員の交通信号を無視したことにあり、被告人の進行道路は県道にて舗装され、しかも広いこと等の当該交差点の状況、同交差点附近を進行するものは右宮島の車両以外に無かつたこと、交通整理員の指示があつたことを等を総合すれば、被告人とすれば交通整理員の指示に従つて一時停止することを信頼して運転すれば足り、あえて右指示に違反して自車の側面を突破しようとする車両のあること迄予想して右側から進入してくる車両を避譲すべき義務はない、かように被告人には訴因として掲げられている徐行義務を課することは出来ずまた信頼の原則によりこれが阻却されるものといわなければならない。

そしてこの理は右の交通整理が道交法四二条にいう「交通整理」に該当するか否かによつて結論を異にするものではない。同法条は道交法上の注意義務に関するもので刑法上の業務過に関する注意義務を規定したものでもなく又一審判決は、右平林の規制は自主規制であり銭高組関連自動車以外の車両には及ばないとの理由で注意義務は免除されないと判断しているが、例えば巷間にみられるように道路工事など道路工事関係者が本件と同じように一方通行などの規制を行つている場合、一般国民はこの規制に従い車両を運行し、これにより交通秩序が保持されるのであつて、社会通念から照らしても自主規制であろうと車両運行者はすべてこの規制に従つて車両を運転するという意識ないし確信が慣行であれ定立されていることは疑いのない公知の事実である。

従つて被告人が右交通規制に従い、これを信頼したことは社会的にも相当であり、被告人にこの点を責めることは妥当でなく、むしろ責められるべきは右停止信号を無視した宮島の態度にあり、社会通念上も右に述べたように交通規制を無視し不適切な行動に出る者を予想し得ない状況にあつたといいうる、更に一審判決は平林の交通規制は銭高組作業関連車両以外の車両に対し規制するものではないから徐行義務の免除はないというも宮島の車両はまさしく銭高組関連車両であり、これが平林の規制の対象になつており、右一審判決の理由は肯定できない。

五、以上により被告人には業務上過失致傷罪を構成する過失の基礎となる注意義務は存在せず、仮にこれが存在するとしても本件具体的事情のもとでは信頼の原則等により右注意義務は阻却され無罪であり原判決は重大な事実の誤認をし、ひいては法令の解釈適用を誤り、これを破棄しなければ著るしく正義に反し、又前記最高裁判所判例(昭和四一年一二月二〇日第三小法廷判決昭和四二年一〇月一三日第二小法廷判決等)と相反する判断をしたもので破棄さるべきである。

以上

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例